社交ダンスの歴史と衰退

社交ダンスは、元々、12世紀のヨーロッパ、芸術が華開いてはいるがまだ人々は世界中を旅する時代ではなかった時期に民衆が躍る踊りとして誕生します。当時はまだ貴族のたしなみで躍るダンスではなく民衆が主役で、そこから貴族に広がり、宮廷ダンスというダンスに変化します。

そして18世紀になり、世界中を旅するのが当たり前になると今度は、男性と女性がペアになって踊るクロスというダンスが主流となります。そして19世紀になると今度は世界大戦という戦争がおきまして、ダンスホールは兵隊さんが占有する場所になり、ダンスホールで兵隊さんと女性が躍るクロスダンスの場所になります。

ここから社交ダンスの動きが大きく変化していき20世紀になると今度は、社交ダンスは徐々に衰退していきます。その理由は単純で、ダンス=紳士や淑女のたしなみというイメージから、競技化する方向でダンスは生まれ変わり、よりアクロバティックな演技が求められるようになり、ダンスは競技でありスポーツであるということが前面に押し出されるとゆっくりとゆったりと男女がペアになり踊る社交ダンスは廃れていったのです。

一方で、競技化されたダンスはと言うと、チアダンスなどのほかブレイクダンスなどのストリートダンスなどが挙げられ、オリンピックの種目になるなどの注目を浴びたことでさらに社交ダンスと競技ダンスは差別化が図られてしまいました。

では、なぜここまで社交ダンスと競技化されたストリートダンスなどに違いが生まれたのかについて解説しますと、これは、若年層の取り込みの成功と失敗の違いです。つまり、社交ダンスは若年層という若い世代では拒絶反応がありますが、若年層はトリックを決めるというストリートダンスについては拒絶感がありません。

そして両者の違いは、トリックという点にあり、複雑な技を持つほうがスタイリッシュであるという違いがあることから、違いが分かるスポーツである、ストリートダンスのほうが支持を集め出し、社交ダンスは衰退して今に至るというわけです。

なので、社交ダンスの衰退については、歴史的観点から見ると、始まり当初は、楽しそうだということから始まり、次に社交辞令としてダンスを踊れないと恥ずかしいということから、貴族の間でステップを踏み、リズムを取ることが重要になります。しかし、時代が進むとステップにリズムは不要と考え始め、トリックという見てわかる技を持つ側が優れているという評価になったため、社交ダンスは廃れたというわけです。