社交ダンスの始まりは民衆の踊り

社交ダンスは今では50カ国以上の国々で踊られています。人々に愛されている社交ダンス。その起源も民衆の踊りだったとご存知ですか?

社交ダンスというと、宮廷との結びつきを連想する人が少なくありません。いわゆる社交ダンスの始まりはヨーロッパの宮廷舞踊とされています。しかし、王侯貴族の踊りが民衆に広がって社交ダンスになったわけではありません。その逆です。民衆の踊りが王侯貴族に広がっていったのです。

王侯貴族に広がっていった踊りが何だったのかについては2つの説があります。1つは「ヴォルト」が始まりとする説です。ヴォルトはプロヴァンス地方で踊られていた踊りです。もう1つは「レントラー」が始まりとする説です。レントラーは南ドイツからオーストリアにかけて民衆に踊られていた踊りです。

いずれの説をとるにしても、民衆が好んで踊る踊りに王侯貴族が注目して、宮廷舞踊に取り入れていきました。12世紀のことです。その頃の踊りは男女が向かい合って組む形のものではありませんでした。12世紀に王侯貴族が踊るようになったのは、お互いの周りを踊るスタイルでした。

ラウンドダンスがヨーロッパ各地で流行したのはルネサンスの頃です。ホールドしないラウンドダンスは長く続きました。エリザベス1世の頃も、まだラウンドダンスが踊られていました。カップルダンスが登場するのはその後です。

最初に登場したカップルダンスは「ラ・ボルタ」です。ラ・ボルタはカップルが互いの身体を接触させて踊るスタイルです。現在の社交ダンスのような、一組の男女が向かい合ってクロースホールドで踊るスタイルが登場したのは18世紀の後半です。クロースホールドで踊る形式へ変化した段階が、一般的に社交ダンスの誕生とされています。

最初に誕生した社交ダンスはウィンナワルツでした。これには男女の抱擁が含まれるため、宗教関係者や年配者から反発がありました。そのため、たびたび禁止されています。しかし、若者を中心に人気となりました。そして、典礼儀式の機会に従来の宮廷舞踊とともに取り入れられるようになりました。

社交ダンスを踊るときに、社交ダンスの歴史に思いを馳せてみるのもいいかもしれませんね。